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2016年09月08日(木) 
生果パイン栽培販売の本格化のきっかけは、1986年に住人の一人が、本土在住の知人に完熟パインを発送したところ、たいへん好評だったことだと言われている。1988年には、ゆうパックによる全国発送を行って取扱量を増大、こうした活動が他地区の農家にも広まっていった。しかし、加工工場の操業停止前後に、パイン農家が生果パインへの全面的な切替に慎重だった。それは、加工用パインと生果パインの栽培技術が大きく異なっていたためだった。

加工用パインの生産では、味はともかく形が大きく、1.5kg程度と重量のあるパインを作ることが目標だったが、生果パインでは、大きさはかえって小ぶり(1キロ前後)でよく、栽培技術の焦点は味を高めることにあるため、これまでの作業経験が活かせなかったためだ。後に生果パイン栽培技術を確立する農家のひとりは「加工用と同じにやってみたが、苦情が多くて、味が統一しないのと、腐敗を防ぐのに5年かかった」と語っている。

パイン農家の多くは生果生産に消極的だったが、農業試験場職員を招いての勉強会や、放置圃場で偶然みつけた良質なパインや、試験的に栽培された指針を参照しながら、試行錯誤の末に生果パイン
の栽培技術を蓄積していった。

高い品質の生果パインを生産しこれを生計の柱とする農家には、共通して意識する方針がある。
まず、肥料の量を減らし、かつ施肥のタイミングを工夫して味をよくする技術を編み出した。また、味の水準を確保するために、生果パインの収穫を短期間に集中させる。これに問題のホルモン剤が使用されている。そして、特に栽培に適した土地に作付けを集中させた。さまざまな努力があって、沖縄の生菓パインの生産は徐々に増加することになる。

しかし、沖縄の生果パイン出荷は、その大半が市場を経由していないので、本土で見かけるのは非常に稀だ。日本の生果パインの輸入自由化は1961年と早く、輸入パインがすでに市場を席巻し、とりわけ安価なフィリピン産の生果パインが90%以上を占めている。沖縄のパインの風味はフィリピン産のものとは異なるとはいえ、市場出荷を行えば再生産が可能な価格を達成できないことははっきりしているためである。

現在のところ、主な流通手段は、「①農家・地域組織による出荷」「②卸業者による出荷」「③JAによる出荷」の3つに限られている。①は、栽培、収穫、選果、出荷先確保、発送だけでなく、顧客管理まで農家やグループが担うこととなり、農家には相当に負担が大きい。②は、一部を地元の業者が行うので負担は軽減されるが、収入は目減りする。③は、買い取り価格が安いだけでなく、一定の範囲内の生菓しか引き取らないこともあって、敬遠する農家が少なくない。また、①や②が航空貨物便を利用するのに対して、船便を使うために輸送時間がかかり、品質が劣化するのがネックになっている。

このように、沖縄の生菓パイン産業は、本土に大きなニーズがあると思われるにも関わらず、過去の経緯からその持てるポテンシャルを発揮できていません。パインは、植え付けから収穫まで2年間かかる作物で、生育に手間も時間も必要になります。それなりの適正な価格で安定して頒布ができれば、農家も安心して栽培に取り組むことができる。この課題解決の方策として、わたしたちは「トラストクーポン」でスモールスタートを試行することにしました。

沖縄県国頭村のパイン農家が、除草剤も使わず無農薬で栽培しただけでなく、収量の安定のために添加されるホルモン剤も使わずに育てたパイン。味にはまったく違いはないのに、大きさや形が規格外ということで生菓市場に出せず、缶詰加工用として出荷されるものを「家庭用」として入手します。それも、共同購入である程度の数量をまとめ、ホルモン剤を使わない特長を活かして収穫できたら、順次発送してもらいます。完全な完熟で届く沖縄パインの素晴らしさを、安価に多くの人たちに共有してもらうことができるのです。

沖縄の農業政策の主要な目標は、復帰以来一貫して、サトウキビの大規模機械化農業の実現を通じて労働生産性を高め、最終的には自立的経営を生み出すことに置かれてきました。しかし、沖縄の生態環境の下でその実現可能性は、政策的補助の永続を前提としなければ低いでしょう。

また、そのような政策的補助に社会的同意をとりつけることは、今日の社会・経済情勢下では困難だと思います。むしろ、加工用パインから生果パイン生産への再生にみられたような、政策的補助の枠から離れたところで適応的技術変化を経た活力ある経営が、点的であっても地域にある程度出現するような状況を、沖縄農業の方向性として望ましいものと考えています。

「パインアップルイノベーション」..これがさまざまな地域資源の復活につなかりますように。

閲覧数134 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2016/09/08 15:04
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